LINE公式アカウントのリッチメニューに何を置くべきか ── 引越し会社の設計例

リッチメニューには、設定するだけで結果が変わる項目があります。トークルームを開いたときのデフォルト表示を「開く」にするか「閉じる」にするか——2,000超のLINEアカウントを分析した調査では、「開く」設定の平均タップ率が約60%、「閉じる」設定が約44%でした。デザインを一切変えずに16ポイントの差がつきます。
本記事では、リッチメニューの仕様を正確に押さえたうえで、引越し会社が何をどこに置くべきかを、6分割・4分割それぞれの配置案として提示します。

LINEの国内月間利用者数は、2025年12月末時点で1億ユーザーを突破しました(LINEヤフー発表)。引越しの検討層に届くチャネルとして、これを上回る母数のものは現状ありません。ただし、リッチメニューは「置いてある」だけでは機能しません。


1. まず仕様を正確に押さえる

画像サイズは2種類、テンプレートは合計12種

大サイズ小サイズ
推奨画像サイズ2,500×1,686px2,500×843px
その他の対応サイズ1,200×810px/800×540px1,200×405px/800×270px
テンプレート数7種5種
最大分割数6分割3分割
ファイル形式JPG/JPEG/PNGJPG/JPEG/PNG
容量1MB以下1MB以下

大サイズは画面の占有面積が大きく、そのぶんタップ率も上がります。ある広告会社の1か月間の検証では、大サイズのクリック率が小サイズの1.5倍になりました。トーク画面を狭めたくないという理由で小サイズを選ぶ会社は多いのですが、見積もりを取りにいくアカウントなら大サイズが基本です。

1枠あたりの実寸を先に計算しておく

デザインを外注する前に、枠のピクセル数を決めておくと手戻りが減ります。

レイアウト1枠あたりのサイズ
大・6分割(3列×2行)833×843px
大・4分割(2列×2行)1,250×843px
大・上1枠+下3枠上 2,500×843px/下 833×843px
小・3分割833×843px

文字は1枠につき2行以内に収まる分量で設計してください。833pxの枠に5文字を超える単語を2つ入れると、実機ではまず読めません。

見落とされがちな3つの設定項目

設定できるアクションは、リンク(URL)、クーポン、ショップカード、テキスト、アクションなしの5種類。URLとクーポンを設定した枠にはアクションラベル(最大20文字)が必須です。ここは音声読み上げにも使われるので、枠の内容をそのまま書きます。


2. タップされる位置、されない位置

下段の右が、いちばん強い

同じクリエイティブを下段中央と下段右下に置いて比較した検証では、下段右下のクリック率が2.5倍でした。スマートフォンを右手で持ったとき、親指が最も自然に届く場所だからです。上段の左は「最初に目に入るが、指が遠い」位置です。目線は上から、指は下から。実務上は指を優先したほうが数字が出ます。

面積は、そのまま結果に効く

同じ6分割メニューの中でも、セール訴求を1枠で出した場合と2枠を使った場合では、クリック率に2倍の差が出たという検証結果があります。枠を分ければ多くの導線を載せられますが、載せた数だけ1つあたりが弱くなります。

2,000超のアカウントを分析した調査でも、6つのボタンを均等に並べたデザインのタップ率が55%だったのに対し、主役の行動を1つに絞ったシンプルなデザインは68%でした。

ラベルは「機能名」ではなく「行動名」で書く

同じ調査では、「ホーム」というラベルより「商品一覧」というラベルのほうが約1.5倍タップされたと報告されています。押した先に何があるかが具体的に書かれているほど押されます。引越し会社なら「サービス」ではなく「料金の目安を見る」、「お問い合わせ」ではなく「その場で見積もり」です。


3. 引越し会社のリッチメニュー推奨配置

候補になる6つの枠

引越し会社のLINEに寄せられる用件は、実務上ほぼ次の6つに収束します。

  1. 見積もり(最も受注に近い)
  2. 料金の目安(まだ相場を調べている層)
  3. 不用品の処分(引越し検討者の相談が最も多い付帯領域)
  4. よくある質問(電話・チャット対応の件数を直接減らす)
  5. 電話(日程が迫っている層)
  6. 会社情報・作業の流れ(信頼の確認)

案A:大サイズ・6分割(3列×2行)

位置置くものアクションラベル例理由
上段・左料金の目安料金の目安を見る最初に目に入る。検討初期の受け皿
上段・中作業の流れ・会社情報引越しの流れを見る信頼の確認。押されなくてよい枠
上段・右よくある質問よくある質問問い合わせ件数を減らす
下段・左不用品の処分不用品の相談をする付帯売上につながる相談枠
下段・中電話する電話で相談する急ぎの層の出口
下段・右その場で見積もりその場で見積もり最もタップされる位置。最重要の行動を置く

案B:大サイズ・上1枠+下4枠(推奨)

面積の効果を使うなら、こちらです。上段の全幅(2,500×843px)を1枠として使います。

位置置くものアクションラベル例理由
上段・全幅(1枠)その場で見積もりその場で見積もりする最大面積。他の枠の2倍以上の存在感になる
下段・左から1料金の目安料金の目安を見る検討初期の受け皿
下段・左から2不用品の処分不用品の相談をする付帯売上
下段・左から3よくある質問よくある質問対応工数の削減
下段・左から4電話する電話で相談する右端=親指が最も届く位置

案C:大サイズ・4分割(2列×2行)

導線を絞りたい場合、あるいは1枠あたりの文字を大きくしたい場合はこちらです。1枠1,250×843pxと広く、シニア層の友だちが多いアカウントでも読めます。

位置置くものアクションラベル例理由
上段・左料金の目安料金の目安を見る相場確認の受け皿
上段・右不用品の処分不用品の相談をする相談件数が多い領域
下段・左電話する電話で相談する急ぎの層の出口
下段・右その場で見積もりその場で見積もり最もタップされる位置

3案に共通する原則は1つです。「見積もり」を、最も面積が大きいか、最も指が届く枠に置く。他の5つは、そこに至るまでの補助か、電話・問い合わせの件数を減らすための枠です。


4. 繁忙期と閑散期で、メニューを差し替える

引越しの需要は平準ではありません。3月の引越し件数は他の月の約2倍です。同じメニューを1年中出しておく理由はありません。

繁忙期(3〜4月上旬)閑散期(それ以外)
目的受けられる案件を早く見極める相談の敷居を下げて母数を作る
最大枠その場で見積もりその場で見積もり
2番目に強い枠空き状況・対応可能日料金の目安
電話枠小さくする(回線が埋まるため)大きめに残す
入れ替える枠不用品 → 空き状況空き状況 → 不用品・オフシーズン割引

繁忙期に電話枠を大きくしておくと、電話が鳴り続けて現場が止まります。この時期に必要なのは着信数ではなく、荷物量と日程が分かっている案件です。逆に閑散期は、電話でも何でも接点を増やしたい。同じ会社でも、季節によって欲しい問い合わせの種類が違います。

差し替えは、リッチメニューの表示期間設定で自動化できます。2月のうちに繁忙期版を作り、開始日時を3月1日、終了日時を4月10日に設定しておけば、当日の作業は不要です。


5. 友だち追加の導線を3か所に置く

リッチメニューをいくら作り込んでも、友だちがいなければ表示されません。引越し会社の場合、追加の導線は次の3か所が実務的です。

場所やり方取れる相手
自社サイト友だち追加ボタンをヘッダー/フッターに常設。スマートフォンではタップで直接追加できる検討中の見込み客
見積書・案内書類QRコードを印刷。「当日の連絡はLINEでできます」の1行を添える見積もり済みで未成約の層
作業当日挨拶時にドライバーがQRを提示。完了報告と保証の連絡先として案内する成約済み顧客(次回・紹介の母集団)

追加してもらった後にやってはいけないこと

モビルス社の調査(2025年6月、全国20歳以上655名)では、LINE公式アカウントをブロックした経験がある人は全体で70%、20代では85.0%。ブロック理由の最多は「配信頻度が多すぎる」で26.5%でした。

引越しは頻繁に発生する消費ではありません。週次の配信をする理由がない業種です。メッセージは送らず、リッチメニューだけを置いておく——これは十分に合理的な運用です。同じ調査では、企業とのコミュニケーション手段としてLINEを「便利」と回答した人が80.2%にのぼりました。使いたい人が多いからこそ、押し売りで失う損失も大きくなります。


6. 数字を見て、月1回だけ直す

LINE公式アカウントの管理画面では、リッチメニューの表示回数・表示ユーザー数・クリック回数・クリックユーザー数・クリック率が確認でき、エリア(枠)ごとの数値も見られます。どの枠が押されているかが分かるので、改善の当て推量が要りません。

ただし、選択期間中に20人以上のクリックがないとデータが表示されません。友だち数が少ない立ち上げ期は、週次で見ても判断できません。月1回、次の順で確認するだけで足ります。

  1. メニュー全体のクリック率(60%前後が一つの目安)
  2. 最大枠のクリック数が、他の枠の合計を上回っているか
  3. まったく押されていない枠がないか。あれば、次の月に別の用途へ入れ替える

最大枠に「その場で見積もり」を置くために

ここまでの3つの配置案は、いずれも最大枠か最も指が届く枠に「その場で見積もり」を置くという一点で共通しています。ただし、そこにリンク先がなければ設計は完成しません。多くの会社が、この枠に自社サイトの問い合わせフォームを設定して、そこで止まっています。

私たちが開発したUIROは、この枠に置くための行き先です。

お客様がリッチメニューをタップすると、その場で自分のスマートフォンのカメラで部屋をスキャンします。LiDAR搭載モデルである必要はありません。スキャンされた空間から荷物量が算出され、荷物リストとともに事業者の管理画面に届きます。

設定は簡単です。リッチメニューの枠にURLを1つ設定するだけ。アプリのインストールも、LINEミニアプリの開発も要りません。アクションラベルには「その場で見積もりする」と入れてください。

事業者にとっての意味は3つです。失注する訪問に人と車を出さずに済むこと。深夜・営業時間外でも見積もりの一次情報が集まること。そして、訪問されたくない層を取り込めること。お客様の側では、人を家に入れる必要も、日程調整も、電話も要りません。業者にとっても、お客様にとっても良い導線になります。

UIROは訪問見積もりをやめる製品ではなく、訪問の打率を上げる製品です。決まりそうな案件に足を運ぶ価値は、これまでと変わりません。

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出典

  1. LINEヤフー株式会社「LINE、国内月間利用者数が1億ユーザーを突破」(2026年1月29日発表/2025年12月末時点)
    https://www.lycorp.co.jp/ja/news/release/020058/
  2. LINE公式アカウント マニュアル「リッチメニュー」画像サイズ(大2,500×1,686px/小2,500×843px)、形式JPG・JPEG・PNG、容量1MB以下、アクション種別、アクションラベル最大20文字、表示期間・メニューバーテキスト・デフォルト表示の設定
    https://www.lycbiz.com/jp/manual/OfficialAccountManager/rich-menus/
  3. LINE公式アカウント マニュアル「分析|リッチメニュー」表示回数・表示ユーザー数・クリック回数・クリックユーザー数・クリック率、エリアごとの計測、20人以上のクリックがない場合は非表示
    https://www.lycbiz.com/jp/manual/OfficialAccountManager/insight_rich-menus/
  4. リッチメニューのテンプレート数(大7種/小5種、計12種)、対応画像サイズ、設定可能なアクション
    https://www.sharecoto.co.jp/linelab/richmenu
  5. 博報堂DYグループ ONEDER「クリック率が上がる!過去実績からわかったリッチメニューの使い方」下段右下は下段中央の2.5倍/6分割で2枠使用時は1枠使用時の2倍/大サイズは小サイズの1.5倍(1か月検証)
    https://oneder.hakuhodody-one.co.jp/blog/how-to-use-the-line-rich-menu
  6. LINE EC Lab「LINEアカウント2,000件を分析したリッチメニューの傾向」デフォルト表示「開く」平均約60%/「閉じる」約44%、「商品一覧」は「ホーム」の約1.5倍、シンプル設計68%/6ボタン均等55%
    https://note.com/line_ec_lea/n/n4ad77ff3f010
  7. モビルス株式会社「消費者のLINE公式アカウント利用実態調査2025」(2025年6月5〜11日、全国20歳以上655名)ブロック経験 全体70%・20代85.0%/ブロック理由「配信頻度が多すぎる」26.5%/企業とのコミュニケーション手段としてLINEを便利と回答80.2%
    https://media-innovation.jp/article/2025/09/11/142813.html
  8. 国土交通省による引越し時期分散の呼びかけ(3月の引越し件数は他の月の約2倍)
    https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1380283.html

※本記事の1枠あたりのピクセル数(833×843px、1,250×843px等)は、推奨画像サイズを分割数で割った当社算出値です。テンプレートによって枠の比率は異なるため、実際の制作時は管理画面のテンプレートを確認してください。リッチメニューの仕様は2026年9月時点の公式マニュアルに基づいています。

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