引越しの「荷物量」はどう測られているのか ── 立方メートルと段ボール個数の話
引越しの見積もりで実際に計算されているのは、荷物の重さでも点数でもなく体積です。単位は立方メートル(㎥)。単身で5〜11㎥、2人世帯で15〜17㎥、4人家族で30㎥前後というのが目安になります。
この数字が分かると、見積書の金額が何で決まっているのかが読めるようになります。トラックのサイズは体積で決まり、料金はトラックのサイズと作業人数で決まるからです。この記事では、世帯人数別の目安、トラックサイズとの対応、段ボール個数の換算を表で整理し、最後に自分で概算する手順を示します。
見積もりを比較するとき、金額だけを並べても意味がありません。各社が前提にしている荷物量が違えば、金額が違うのは当たり前だからです。まず自分の荷物が何㎥なのかを把握するところから始めます。
1. 荷物量の単位は「立方メートル」
1㎥は、1辺1メートルの立方体
1立方メートル(㎥)は、縦1m×横1m×高さ1mの空間です。「立米(りゅうべい)」とも呼ばれ、引越しの現場ではこちらの読み方が使われます。
感覚をつかむために、身近なもので言い換えると次のようになります。
- 一般的な引越し用段ボール(120サイズ、45×35×32cm)は約0.05㎥。20箱でおよそ1㎥
- 大手の単身パック用ボックス(幅104×高さ170×奥行104cm程度)は約1.8㎥。3辺140cm以内の段ボールなら15個ほどが目安
- 洗濯機(縦型)はおおむね0.4㎥前後、400L級の冷蔵庫は0.7〜0.8㎥前後
つまり、大型家電2台で段ボール20〜25箱分の体積を使います。段ボールの数を気にする人は多いのですが、荷物量を大きく動かしているのは家具と家電です。
なぜ体積で測るのか
トラックに載せられる量を決めるのは、重量制限より先に荷台の空間だからです。引越しの荷物は、鉄や砂利と違って軽くてかさばります。最大積載量の重さに達するより先に、荷台がいっぱいになります。だから引越しの見積もりは体積で組まれます。
2. 世帯人数別の荷物量の目安
実際の見積もりで使われている、世帯人数と荷物量・車両サイズの対応は次のとおりです。
| 世帯 | おおよその間取り | 荷物量の目安 | 段ボール個数 | 使われる車両 |
|---|---|---|---|---|
| 単身(荷物が少ない) | 1R・1K | 5〜5.5㎥ | 10〜15箱 | 軽トラック |
| 単身(荷物が多い) | 1K・1LDK | 10〜11㎥ | 15〜25箱 | 1.5t〜2tショート |
| 2人 | 1LDK・2DK | 15〜17㎥ | 20〜30箱 | 2tロング〜2.5t |
| 3人 | 2LDK・3DK | 25㎥前後 | 30〜50箱 | 3tトラック |
| 4人 | 3LDK | 30㎥前後 | 50〜80箱 | 4tトラック |
| 5人以上 | 4LDK以上 | 40㎥以上 | 80箱以上 | 10t以上・複数台 |
ただし、この表は目安として使ってください。同じ調査では、3部屋以上の住まいでも4分の1以上の人が軽トラックに収まる荷物量だったという結果が出ています。部屋の広さと荷物量は、思っているほど相関しません。
間取りより「収納の埋まり方」で決まる
荷物量を左右するのは、住んでいる年数と収納の使い方です。同じ2DKでも、入居3年目と15年目では倍近く違います。押入れの上段・下段、天袋、床下収納、クローゼットの奥。ここが埋まっているかどうかが、車両サイズを1段変えます。
3. トラックサイズと積載量の対応
車両ごとの荷台と積める量
| 車両 | 荷台の広さ(畳換算) | 荷台寸法の例 | 実際に積める目安 | 段ボール換算 |
|---|---|---|---|---|
| 軽トラック | 約1畳半 | 長さ約2.0m×幅約1.4m | 5〜5.5㎥ | 約10箱+家電 |
| 2tショート | 約3畳半 | 奥行3.1m×幅1.7m×高さ2.2m | 10〜11㎥ | 20〜30箱+家具 |
| 2tロング | 約5畳 | 奥行4.5m×幅1.8m×高さ2.25m | 15〜17㎥ | 30〜40箱+家具 |
| 3tトラック | 約6畳半 | — | 25㎥前後 | 40〜50箱+家具 |
| 4tトラック | 約8畳 | — | 30㎥前後 | 40〜60箱+家具一式 |
荷台の容積と、実際に積める量は違う
この表を見て、計算が合わないと感じた人は正しいです。2tショートの荷台寸法から容積を計算すると、3.1×1.7×2.2=約11.6㎥。2tロングなら4.5×1.8×2.25=約18.2㎥になります(※当社試算)。表に書いた「実際に積める目安」より、いずれも2割ほど大きい数字です。
この差は、次の理由で生まれます。
- 家具は割れ物の上に積めないため、積む順序に制約がある
- 冷蔵庫やタンスは立てたまま運ぶ必要があり、上に積める物が限られる
- 養生の毛布やパッドが場所を取る
- 自転車、ベッドフレーム、突っ張り棒などの長物が空間を斜めに占有する
- 走行中に荷崩れしないよう、隙間を詰めきらず固定する必要がある
結果として、実際に積める量は荷台容積のおおむね7〜8割に落ち着きます(※当社試算)。トラックのサイズを紹介する情報源ごとに立方メートルの数字が食い違うのは、荷台の実容積を書いているのか、引越しで実際に積める量を書いているのかが違うためです。見積書で確認すべきは、車両の名前ではなく、前提になっている荷物量の数値です。
サイズの階段には「中間」がない
軽トラックの次は2tショート、その次は2tロング。1段の差は5㎥以上あります。荷物が2tショートの容量をわずかに超えた瞬間、次の車に上げるか、2便に分けるか、別の車を追加するかの3択になります。「少しだけ増えた」が料金に大きく響くのはこのためです。
4. 段ボールの個数と体積
サイズ規格ごとの容積
| 規格 | 3辺の合計 | 寸法の例 | 容積(概算) | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 100サイズ(S) | 約100cm | 35×30×25cm程度 | 約0.026㎥ | 本、食器、調味料など重い物 |
| 120サイズ(M) | 約120cm | 45×35×32cm | 約0.05㎥ | 衣類、日用品。最も使う汎用サイズ |
| 140サイズ(L) | 約140cm | 55×40×40cm程度 | 約0.088㎥ | 布団、クッション、かさばる軽い物 |
容積は寸法から計算した値です(※当社試算)。実務では120サイズを1箱=約0.05㎥として、「20箱で1㎥」と覚えておくと概算が速くなります。
一人暮らしの段ボール個数の内訳
| 荷物量 | 合計 | Sサイズ | Mサイズ | Lサイズ |
|---|---|---|---|---|
| 少ない | 10〜15箱 | 3〜5 | 7〜10 | 0〜1 |
| 平均的 | 16〜25箱 | 5〜8 | 10〜15 | 1〜2 |
| 多い | 28箱以上 | 10以上 | 15以上 | 3以上 |
注意したいのは、棚に並んでいる状態と、箱に詰めた状態では体積が変わることです。本棚の本は隙間なく並んでいますが、段ボールに詰めると必ず余白ができます。荷造り前の目測が少なめに出るのは、この膨張を計算に入れていないためです。
5. 自分で荷物量を概算する4ステップ
ステップ1 段ボールの見込み数を出す
世帯人数から目安の箱数を取り、0.05㎥を掛けます。2人世帯で25箱なら、25×0.05=1.25㎥。この時点では、まだ全体の1割にもなりません。
ステップ2 大型の家具・家電を実測して足す
ここが本体です。幅・奥行・高さをメートルに直して掛け算します。実測が面倒なら、メーカーサイトの製品仕様に寸法が載っています。
| 品目 | 寸法の例 | 計算 | 体積 |
|---|---|---|---|
| 冷蔵庫(400L級) | 幅0.6×奥行0.7×高さ1.8m | 0.6×0.7×1.8 | 約0.76㎥ |
| 洗濯機(縦型) | 幅0.6×奥行0.6×高さ1.0m | 0.6×0.6×1.0 | 約0.36㎥ |
| シングルベッド | 幅1.0×奥行2.0×高さ0.4m | 1.0×2.0×0.4 | 約0.80㎥ |
| 2人掛けソファ | 幅1.5×奥行0.8×高さ0.8m | 1.5×0.8×0.8 | 約0.96㎥ |
| 食器棚 | 幅0.9×奥行0.45×高さ1.8m | 0.9×0.45×1.8 | 約0.73㎥ |
| 本棚(高さ180cm) | 幅0.9×奥行0.3×高さ1.8m | 0.9×0.3×1.8 | 約0.49㎥ |
上の6点だけで約4.1㎥。段ボール25箱の3倍以上です(※当社試算・寸法は一般的な製品を想定した計算例)。荷物量を決めているのが何なのかが、この時点で見えるはずです。
ステップ3 忘れやすい物を必ず加える
ここまでの計算に、次の物が入っているか確認してください。ズレはほぼここから出ます。
- ベランダの自転車、物置、プランター、タイヤ
- 押入れ・天袋・床下収納の中身(布団、季節家電、思い出の箱)
- 玄関の靴、傘立て、掃除用具
- カラーボックス、衣装ケース、突っ張り棚などの「家具未満」の物
- 照明器具、カーテン、ラグ
- 処分するつもりで、まだ処分していない物
ステップ4 合計に1.2を掛ける
ステップ1〜3の合計に、1.2倍の余裕を見ます。梱包による膨張と、積載の効率を織り込むためです。この数字を持って見積もりに臨めば、各社の提案が同じ土俵に乗ります。
2人世帯の例で通しで計算すると、段ボール1.25㎥+大型家具4.1㎥+その他の小物3㎥程度=8.35㎥、×1.2で約10㎥。世帯人数の目安表(15〜17㎥)より少なめに出ますが、これは目測では小物と収納の中身を数え漏らすからです。手計算の限界がここにあります。
6. 目測は必ずズレる。だから測る道具がある
ここまで手順を書いておいて言うのも妙ですが、人間が部屋を見て体積を当てるのは、そもそも難しい作業です。プロの営業担当者が訪問見積もりで20分かけて確認するのは、経験による補正を入れているからで、それでも収納を開けなければ数字は合いません。
そして、荷物量がズレると起きることははっきりしています。当日にトラックへ積みきれず、2便対応や追加請求になります。逆に多めに申告すれば、必要より大きい車と多い人数で見積もられ、払わなくてよい金額を払うことになります。ズレは、どちらに転んでも損です。
手計算のあとに、数値で答え合わせをする
私たちが開発したUIROは、引越し会社の自社サイトにある「早速見積もりする」ボタンから、お客様がその場で自分のスマートフォンで部屋をスキャンする仕組みです。LiDAR搭載モデルは不要で、カメラ付きのスマートフォンで動きます。スキャンした空間から荷物量が算出され、荷物リストとともに引越し会社の管理画面に届きます。
お客様にとっては、記憶と目測に頼らずに荷物量を伝えられるということです。引越し会社にとっては、車両と人員を正しいサイズで組めるということです。業者にとっても、お客様にとっても良い——荷物量を数値で確定させることは、その数少ない一手です。
引越し会社の方へ:UIROの導入について相談する
出典
- 世帯人数別の荷物量(軽トラック5〜5.5㎥/1.5t〜2tショート10〜11㎥/2tロング〜2.5t 15〜17㎥/3t 25㎥/4t 30㎥/10t以上40㎥以上)、段ボール個数の目安(単身10〜15箱/2人20〜30箱/3人30〜50箱/4人50〜80箱)、3部屋以上でも4分の1以上が軽トラックに収まるという結果
https://hikkoshi.suumo.jp/oyakudachi/8571.html - トラック種別ごとの荷台の広さ(畳換算)と積める荷物・段ボール個数の目安
https://ka-center.jp/advice/16.html - 2tショート・2tロングの荷台寸法(高2.2m×幅1.7m×奥3.1m/高2.25m×幅1.8m×奥4.5m)
https://www.homes.co.jp/hikkoshi/cont/type/single/truck/ - 2トントラックのタイプ別全長・全幅(ショート4.7m/ロング6.0m/ワイドロング6.0m×2.1m)
https://hikkoshizamurai.jp/price/truck/ - 車両サイズ別の容積目安(軽トラック約3立米、2t平ボディ約7立米、2tロング約11立米、2tアルミバン約11〜15立米)。荷台実容積と積載可能量の差の参考
https://www.haihinkaisyuu.com/article/trucksize/ - 段ボールのサイズ規格(100/120/140サイズ、120サイズの寸法例45×35×32cm)と一人暮らしの必要枚数内訳
https://www.boxbank.jp/blog/moving-livingalone/ - 単身パック用ボックスの寸法(幅104×高さ170×奥行104cm相当)と容積1.83㎥、3辺140cm以内の段ボール15個の目安
https://www.homes.co.jp/hikkoshi/cont/type/single/yamato-shingle-pack/
※本記事中の段ボールの容積(約0.026㎥/約0.05㎥/約0.088㎥)、荷台寸法から求めた容積(2tショート約11.6㎥/2tロング約18.2㎥)、「実際に積める量は荷台容積の7〜8割」、家具・家電の体積の計算例(合計約4.1㎥)、および2人世帯の通し計算(約10㎥)は、公開されている寸法をもとに当社が計算した試算値です。実際の寸法と積載可能量は製品・車両・荷物の内容によって変わります。
